可視化で見えてくる要件のグレード

Web制作などで行われる要件定義において、特に重要とされるのが各要件のランク付け。その際判断基準として推奨されているのが、重要度とROI(Return on investment:投資利益率)。この両者それぞれの大小を勘案しつつ要件をランク付けすると判断しやすいというものです。具体例の一つに、縦方向に重要度(上に行くほど高い)を、横方向にROI(右に行くほど高い)として図式化し各要件を当てはめていくことで、トータル的な重点要件を浮かび上がらせることが可能というものです。最重要となるのが最も右上に位置された要件で、逆に左下の要件はむしろ除外を検討したほうがいい、という判断が一目瞭然となります。このような可視化は情報整理には有効とされています。

要件定義は不明確部分の解消も大切

Web制作のようなプロジェクトは、要件定義から開始されます。ところが発注者の期待する成果を上げるという基本に変わりは無いにしろ、往々にしてこの要件が最初から最後まで終始一貫して変化なし、ということは稀かもしれません。提案書までは発注者と制作者との思惑の食い違いは表だってこなかったものが、いざ具体的に進めていくうちに顕在化してくる場合があります。そう考えるとこのようなはっきりしていなかった境界を明確化するのが要件定義の主目的と言ってもいいのかもしれません。発注者の潜在的な期待が、のちのち追加要件として制作者側に負担を強いることの無いようこの明確化は制作者側にとっても、後々のトラブルを最小限に留める大切な目的ともなりえます。そのためにも要件定義は、慎重かつ大胆に要件の文書化を図ることがお互いにとって益となると考え取り組むべきと言えるのかもしれません。

要件定義でプロマネの果たす役割

Web制作での要件定義で重要と言われているのがスコープ(範囲)のとらえ方。必ずしも広い視点だけで見ていけばいいというとそうとも限らず、かといって最初から狭い視点で見ていくのも好ましくありません。ちょうど鳥が獲物を捕らえるとき、まずは空中高く地上を見渡し獲物を見つけると同時にその獲物めがけて急降下していく、という動作にたとえられるかもしれません。このような視点の調節は特にプロジェクトマネージャに求められる役割とも言われています。制作者サイドの実務担当レベルでは具体的なある範囲でのタスクに着目してしまいがちな面がある一方で上層部はビジネス的な視点で見てしまうもの。その中をとりもつのがまさにプロマネであり、このような使い分けがプロマネに求められる資質の一つと言っていいのかもしれません。