オウンドメディアとは、企業が所有や管理をするメディアの総称で、ブログやWEBサイトなど企業が自作しているサイト全般のことをいいます。
オウンドメディアを運用することで、企業におけるさまざまなPR活動に活かせることができ、広告費をかけずに企業のPR活動につなげられるため、企業のブランディングに最適といえます。
一方で、WEBサイトやブログと同じで効果が出るまで時間がかかることやコンテンツ制作経験者でないと運用がむずかしい注意点も存在します。本記事でオウンドメディアを運用する流れを理解して、企業のPR活動の促進につなげてください。
※このページの掲載情報は(西暦)2022年7月時点の内容です。
オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、ホームページやWebサイトを含む企業が消費者に向けて独自の情報発信するメディアのことで、トリプルメディアと呼ばれるWeb上で分類される三大メディアの1つです。オウンドメディア以外のトリプルメディアは、以下のとおりです。
- ペイドメディア:テレビやラジオなど企業が対価を払って活用する広告全般
- アーンドメディア:SNSや食べログといった口コミサイトで消費者からの信頼を得ることを目的としたメディアのこと
上記のトリプルメディアを運用することで企業はさまざまなメリットを得られます。オウンドメディアでは情報提供の内容やタイミング次第で消費者が理解を深めることにつながります。
ペイドメディアでは企業ブランドや商品の認知力向上につながり、アーンドメディアは消費者から良い評価を受けることで企業の評判向上して商品の販売促進につながる可能性も考えられます。
オウンドメディアはペイドメディアやアーンドメディアとは異なり、自社が運用しているWEBサイトなので自由にサイト制作・管理ができます。広告費もかからず人件費やサーバー費用のみかかるので、大幅なコスト削減にもつながります。オウンドメディアを積極的に運用して企業のPR活動の促進につなげてください。
オウンドメディアが注目されている背景
オウンドメディアが注目されている背景には、消費者の行動形態の変化が挙げられます。以前まではテレビやラジオなどから情報を入手するのが当たり前でしたが、インターネットの普及により検索エンジンで検索しただけで欲しい情報を容易に入手できます。
オウンドメディアを運用して消費者へ有益な情報を提供し続けていれば、消費者が企業に興味を持ち始めてPR活動だけでなく、販売促進につながる可能性もあります。
オウンドメディアを運用する目的
オウンドメディアを運用する目的として、以下の3つが挙げられます。
- 新規顧客の獲得
- 商品、サービスのファンを増やす
- 長期的な資産の確保
新規顧客の獲得
企業は新規顧客の獲得を目的の1つとしてオウンドメディアを運用しています。商品やサービスについてよく理解している企業が自ら情報発信することで、潜在顧客の悩みや疑問を解決できます。
オウンドメディアを用いて悩みや疑問の解決をしたことによって、消費者が企業に興味を持ちやすくなり、新規顧客の獲得につながります。
商品・サービスのファンを増やす
商品、サービスのファンを増やすこともオウンドメディアを運用する目的の1つです。自社が取り扱っている商品、サービスのファンを増やすことで、購買行動につながる可能性があります。
自社のオウンドメディアで商品、サービスの良さを消費者に伝えて、購買行動へつなげてください。
長期的な資産の確保
オウンドメディアを運用することで、長期的な資産の確保につながります。以前まで情報発信の主流であったペイドメディアは、テレビやラジオなどをとおして多くの消費者へ情報発信ができましたが、広告を止めた瞬間に情報発信ができなくなってしまうため、資産として残せませんでした。
しかし、オウンドメディアは自社が運用・管理しており、運用するにあたって広告費を支払う必要もないため、長期的な資産の確保ができます。
オウンドメディアを始めるためのステップ
オウンドメディアを始めるためのステップとして、以下の7つが挙げられます。
- 目的設定
- ペルソナ設定
- カスタマージャーニー設定
- チャネル設定
- コンセプト設定
- コンテンツ方針設定
- サイト、コンテンツ制作
目的設定
オウンドメディアを始める際に、オウンドメディアを運用する目的を設定する必要があります。たとえば、商品やサービスの問い合わせの獲得を目的にしているのか、メルマガやLINEアカウントへの登録を目的にしているのかなどオウンドメディアを運用する目的は、企業によってさまざまです。
オウンドメディアを運用して成し遂げたい目標を明確に設定することで、目標達成につながりやすくなります。
ペルソナ設定
オウンドメディアを立ち上げる際に、オウンドメディアで情報を受け取る具体的な消費者像を設定する必要があります。
ペルソナは事細かく設定する必要があり、事細かに設定することで一貫性のあるサイトテーマにできるため、ユーザーのニーズに沿ったメディアにできます。ペルソナを設定する際は、アンケート結果やユーザー分析の結果などの事実に基づいておこなってください。
カスタマージャーニー設定
カスタマージャーニーとは、顧客が実際に商品やサービスを購入して利用するまでのプロセスのことです。顧客が購買行動をするまでにSNSで商品・サービスの存在を知って、WEBサイトで比較検討するなどさまざまな接点を行き来します。
カスタマージャーニーを設定することで顧客が商品、サービスを購入することから購入するまでの一連の流れを言語化できるため、顧客の行動や心理状態を把握しやすくなります。顧客の心理状態を把握することで、適切なタイミングで情報提供できるため、購買行動につながります。
チャネル設定
チャネルとは集客するための媒体、経路のことで、オウンドメディアのアクセスにつながります。
たとえば、20代女性をペルソナに設定していた場合、20代女性の多くが使用するSNSであるInstagramにチャネル設定すると集客しやすくなります。ペルソナの集客につながる媒体、経路を考えたうえでチャネル設定をしてください。
コンセプト設定
コンセプト設定ではオウンドメディアを運営する元となる基本的な考え方を決めます。オウンドメディアをとおして何を消費者に伝えたいのか、ユーザーにどのような行動をしてほしいのかを明確に決める必要があります。
オウンドメディアのコンセプト設計は、具体的に以下の流れでおこないます。
- 自社ならではの強みを明確にする
- オウンドメディアを運用することで解決したい自社の課題を整理する
自社ならではの強みを明確にすることで、消費者への訴求力の向上につながります。自社の強みは、最終的な成果(コンバーション)と密接な関係にあるため、必ず明確にしてください。
自社の課題を整理することで、自社がオウンドメディアに求めることが明確になります。たとえば規模が小さいことや競合他社より認知度が低いことなど自社で抱えている課題をまとめてみてください。
自社の課題を洗い直した後、チャネルの拡大や認知度の向上など課題をどのように解決したいかを考える必要があります。自社の課題を明確にしたうえでコンセプト設計を進めていくと、消費者のニーズに沿ったWEBサイト作りにつながります。
コンテンツ方針設定
コンテンツ方針を設定することで、コンテンツに統一感が生まれて設定したペルソナが目標の行動にたどりつきやすくなります。コンテンツ方針設定をする際は、UI/UXの観点から構成してください。
UI(ユーザーインターフェース)とは、オウンドメディアで情報を得る際にユーザーの視覚に触れる設定のことです。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、商品やサービスをとおしてユーザーが得る体験を表す言葉です。ユーザーがオウンドメディアで情報を得て商品やサービスを購入するまでのプロセスすべてがUXと捉えられます。
オウンドメディアの読み込み速度が速かったり、入力フォームでの手順がスムーズなのはユーザーが体験することなのでUXとして捉えられます。一方で見やすいレイアウトであったり、フォームに入力補助の機能があったりと視覚的に優れている機能なのでUIとして捉えられます。
UI/UXに沿ったコンテンツ方針設定をすることで、ユーザーのニーズに沿ったオウンドメディア作りにつながります。
コンテンツ制作
最後にサイト、コンテンツ設定をおこなってください。消費者に検索で見つけられるオウンドメディアに成長するまでキーワードを意識して以下に気を付けたうえで執筆してください。
- タイトルにはキーワードも含める
- 見出しや本文にもできるだけキーワードを含める
- タイトルの文字数は30字以内にまとめてなるべく頭にキーワードを入れる
ただ、あまりにキーワードを意識しすぎてコンテンツの質が低くなってしまったらオウンドメディアを運用する目的が達成できません。コンテンツの質の次にキーワードを大事にして記事執筆をしてください。
オウンドメディアを運用するメリット
オウンドメディアを運用するメリットとして、以下の4つを紹介します。
- 広告費の削減につながる
- コンテンツが資産になる
- 戦略的なマーケティングができる
- 自由に制作、管理ができる
広告費の削減につながる
オウンドメディアは人件費とサーバー費用しかかからず、広告費の削減につながります。広告費をかけて広告を掲載し続ける必要があるペイドメディアとは異なり、オウンドメディアは一度投稿したコンテンツは永続的にインターネットに残り続けます。
消費者を呼び込む力があるメディアを広告費をかけずに持ち続けられるので、集客効果が継続的に発揮されます。
コンテンツが資産になる
オウンドメディアを運用すると、コンテンツが資産になって企業のPR活動に活かせます。短期的に消費されてしまう広告とは異なり、オウンドメディアに自然流入が見込めるようになると、地道に運営することで会社に資金が貯まっていきます。
会社に資金を着実に溜めていきたいのであれば、企業のPR活動に生かして販売促進にもつなげられるオウンドメディアの運用が適しています。
戦略的なマーケティングができる
オウンドメディアは、設定したペルソナが求めているコンテンツを提供してPDCAを回しながら戦略的なマーケティングができます。PDCAとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返すことで、企業の業務を継続的に改善する手法のことです。
オウンドメディアをとおして認知や興味関心から購入や問い合わせまでの購買プロセスでペルソナが求めているコンテンツを提供することで、成果となるアクションにつなげられます。
自由に制作、管理ができる
オウンドメディアはすべて自社が自由に制作、管理ができるメディアです。。たとえば、オウンドメディアに会員登録機能を設置した場合は商品、サービスの販売促進につなげられる顧客情報を取得できます。
自由に制作、管理できる強みを活かしてペルソナのニーズに沿ったコンテンツ作りを心がけてください。
オウンドメディアの注意点
以下の2つの注意点を把握したうえで、オウンドメディアを運営してください。
- コンテンツ作成経験がないとむずかしい
- 効果が出るまで時間がかかる
コンテンツ作成経験がないとむずかしい
オウンドメディアを運営する際はキーワードの設定やコンテンツの立案などさまざまな施策を実行する必要があり、設定したペルソナに沿ったコンテンツを発信し続ける必要があるため、コンテンツ作成経験がない場合には運用は現実的ではありません。
加えてオウンドメディアを立ちあげたばかりでは検索流入がされにくいので、結果が出なくてもコンテンツを作成し続ける忍耐力が求められます。
オウンドメディアの代行する企業も増加しているので、コンテンツ作成経験者がいない企業は業者に代行してもらうことを1つの選択肢として考えてみてください。
効果が出るまで時間がかかる
オウンドメディアを運用し始めたころは新規ユーザーに届きにくく、記事の数が少ないと読まれる機会も必然的に低くなるので、SEOを意識した記事を執筆し続けて新規顧客の獲得につなげる必要があります。
オウンドメディアは効果が出るまでに時間がかかるものだと念頭に置いたうえで運用してください。
オウンドメディアの運用で成功した事例
オウンドメディアの運用で成功した事例として、以下の2つを紹介します。
- THE BAKE MAGAZINE
- ジモコロ
THE BAKE MAGAZINE
THE BAKE MAGAZINEは、株式会社BAKEが2015年5月から運営しているオウンドメディアで製菓業界に関する情報発信をしています。
「製菓業界を変えるオウンドメディア」をコンセプトに情報発信しており、お菓子のスタートアップ会社である株式会社BAKEだからこそ取りあげられる新作お菓子の制作工程や実食レポート、製菓企業へのインタビュー記事などを主に投稿しています。
そんなTHE BAKE MAGAZINは、運用開始して1年もしないうちに池袋に出店したカスタードアップルパイのお店RINGOの出店情報記事でアクセス数を3万以上突破しています。
ジモコロ
ジモコロは、株式会社アイデムと株式会社バーグハンバーグバーグが共同運営しているオウンドメディアです。エリア型求人サイト「イーアイデム」の運営元である株式会社アイデムが、イーアイデムのブランディングとしてジモコロを2015年から運営しています。
おすすめの観光スポットやおすすめの酒場など旅行する際に役立つ情報を発信しています。ジモコロの運用を始めて3年で200万PVを超える記事が出るといった人気ぶりを誇っています。
まとめ
オウンドメディアを運用することで広告費をかけずに戦略的なマーケティングができて、継続的に顧客を得られるコンテンツにつながります。
一方でオウンドメディアを運営するうえで、コンテンツの作成経験がないと運用がむずかしい点や効果が出るまで時間がかかる点を把握しておく必要があります。 本記事を参考にしてオウンドメディアを用いた情報発信を積極的におこない、新規顧客の獲得、商品やサービスのファンの増加などの目標を達成できるように運用してください。